「ゼロから始める竹竿作り」製作編その11(竹のフェルール)

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すだれ巻き手法の後付け竹フェルール、さてどのように処理しましょうか。

生成りシルクラップのヌーディーを愛でますか?、
それとも負担の大きな挿げ口をケブラやPEで巻きますか。

見た目重視ならそれも良し、この方式は何度でも作り替えできるからね、
ただしその場合は竹の厚さを増しましょう、
0.5mmは余りにも薄い、数回の使用で参っちゃうかもしれません。

フェルールのストレスって思うより大きいです、
釣りをしてると曲げと捩りが同時に掛かるのは普通のことで、
丸断面ならかなり逃げが効くけど、こいつは角が付いてるからヤバい。

糸巻き補強は押広げには強くても曲げと捩れが一緒にきたらとても弱い、
耐えるためには竹を厚くする以外にない、無骨になって当り前なんです。

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こんな便利なものを知ったのは無駄足掻きをずいぶん続けた後、
カーボンブレードのパイプ、悩める私には救世主でした、
フェルール破損の心配をする必要がなくなったのですから。

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膨らませて通し、軽く引き絞めフィットさせたら両端をテープ止め、
エポキシを満遍なく擦り込んでから表面を拭き取ります、
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熱収縮チューブを配置したら、
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火の中をぐりぐり通す、
接着剤が煮立つのが見えてコワくなるけビビッてはいけない。
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速攻でバケツに放り込み冷却する、でないとメンマができる(笑)、
焼き入れしてない竹を使う理由はここ、それなりに考えとります。

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加熱したエポキシは急速に硬化するので手早く不要部分を撤去し、
アルコールなどではみ出しをクリーニングします。
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そのまま硬化させても良いとは思いますが、
テープを強く巻いてダメ押しします、(捩れ防止でクロス巻き)、
微量ですが、余剰接着剤が出ます。

つづく


「ゼロから始める竹竿作り」製作編その10(竹のフェルール)

同一素材でフェルール、て、考え方としては実にシンプル。
が、膨らんだり縮んだりする素材でフィッティングを維持するのは大変なこと、
ペラペラの薄物を突き合せ接着し、強度や耐久性を期待出来るの?・・・など、

と、悲観的な書き出しですが、これはこれで魅力的ではあります、
商売には保障面でのリスクが多いけど、自分が楽しむ分なら気軽に作れますので。

今回紹介するのは、羽舟スタイルの自家改変版、
後付け方式は作り替えが効き、ベンディングを阻害する要素を最小限にできます、
耐久性さえ確保できれば、とても優れた接続方法になります。

ということで本編、製作のタイミングがないから余剰材を使って要領を解説します。
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上は完成形、3pcのティップセクション、7番の剛竿ですが、ブン廻しても絶対大丈夫です。
解説用のマテリアルは、
ブランク径4ミリちょっと、フェルールは肉厚0.5ミリ、外形テーパー0.2mm/5inです。

4ミリ径なら厚さ0.4ミリでも持ちます(後述の補強前提で)、
なお、素材は適度に枯れていれば焼入れの必要はありません、
テーパーは竿のスロープそのままが良い、その方が素材変動に対応しやすいでしょう、
テーパーなしで作る方は多いと思いますが、良いところは抜くときのポップ音だけかも。

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薄板を作るための治具です、左は自作、右2つはショップメイド、
専用品を使わず簡便に済ますこともできます、
スチール物差しを2枚置いて、厚み管理はシックネスゲージを敷けばよい、
私も最初はそうだった。デプスゲージ当てながら調整する必要もないし案外優れもの。

要領としては、所定厚を一気にやらないことですね、
コンマ1mmくらい厚い状態から仕上げ削りをすれば失敗しません。
刃物でやるかサンドペーパーを使うかはお好みでどうぞ。

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出来たマテリアルをテープで止めます(先端きっちり揃えてね)、

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出来型予定寸法は50mm、
ブランク径4ミリ台なので接着代は4倍、差込は径の8倍、がウェルバランス、
実験では接着代1センチでも大丈夫でしたが余裕を見てます。
出来合いを差込接着する方式じゃないからタイトにくっ付けることができます。

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接着剤を塗ったら巻きつけます(事前確認はもちろん必須)、
右手に持つ糸は長め、ブランクに着く部分を強めに巻きます、
次いで右手糸を螺旋に数回巻いて、
引くようにしつつ左手でブランクを廻し巻き進める、を繰り返せば、
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こんな風になりますので。
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濡らした綿棒などで内部のクリーニングをしたらまずは一息、数日放っておきましょう。

補強その他については次回。