「ゼロから始める竹竿作り」製作編その2

表面を整え荒削り

 
1、養生した焼入れ竹の曲がり・捩れを修整します、
  硬くなってるからあまり大きく動かせません、特に節周りは慎重に。

2、次いで両サイドを軽く削り四角い棒に整えます、カンナは35度の刃です。

3、節をヤスリで平らにし、焦げた表皮を#120サンドペーパーで落とします、
  このとき、両端に皮が残るくらいで止めます。

  マダケの繊維密集層は厚くても1mm未満です、
  この時点で繊維がくっきり見えるほど削ったらアウト、
  最終的に大切な部分の1,2割失うことになります、
  美しい繊維の筋が、なんて考えたら情けない竿になるデ。

4、プレーニングフォームのバット用を均一に開きます、

  最初はカンナを傾け、サクサク交互に角を落とす感じで進む、
  見た目で正三角に近付いたら、きちっと押さえながらカンナは水平、
  中から先を1回・全体に1回を両側、それから各面2.3回ずつ削り込んでいくと、
  フォームに近いテーパーの三角棒ができます、少し余裕を持ってストップ、
  曲がりや捩れが出たらこの時点で直します、細くなってからは危ない。
  
  ギクシャクせずイイ感じで削れた削り屑の厚みを計ってみましょう、
  0.15から0.2ミリ、腕力にもよりますが、おそらくそのあたりかと。

  #240サンドペーパーで表皮面を軽く磨き、いよいよ仕上げ削りです、
  なお、サンドペーパーを使ったら必ずフォームを掃除機でクリーニングしましょう、


仕上げ削り 

1、フォームセッティングは3ステップで
  
  プッシュ・プル両ネジが緩んだ状態から、
  片ネジだけで全域各ポイントを近似値にする(ここで締めてはいけない)、
  次に緩んでるネジを(指で回せるくらいに)100分の1、2くらいにまで調整する、
  そして設定値に固定、100分の0.5から1締めればOK、緩むことはありません、
  この手順で行えば中間歪が最小で済みます。

2、仕上がる一歩手前まで削る

  荒削りで使った35度の刃、研ぎ直さなくても切れます、
  少し引っ込め、0.1から0.15の厚みが快適です、応じてマウスも閉じ加減。

  三角が崩れないよう確認しながら、残りコンマ数ミリ位まで追い込み、終了。

3、最終仕上げ

  仕上げ用の刃(42度前後)に取り替えます、
  殆ど出てない状態でいちど当て、ちょこっと出してひと削り、
  トラブルの起き難い、削り厚0.05ミリほどに微調し、開始します。

  6本ともフォームに触る寸前まで削り、それから最後のひと削り、
  こうすれば研ぎ直しせず1枚の刃で仕上げることができます。

  木工の世界じゃなまくら扱いな純正刃ですが、
  40度以上に立て、金属台に接触させる条件では絶妙です、
  適度な柔らかさと粘りが、多少めくれても何とか刃の形状を保つ、
  なのでフォームを擦ってもある程度切れが継続します。 

  仕上げ終えたら(中心に向く)三角の頂点をひと削り、
  おまじない程度ですが接着剤の逃げとします。

  マスキングテープで纏め(20cm間隔ほど)、待つのは接着作業です。



  
  
  
  

  




「ゼロから始める竹竿作り」製作編その1

節を散らす

上からスパイラル(バリエーションあり)、2×3、3スタック、
191008_1.jpg
強度面でスパイラル、2×3、3スタックの順、
ですが、それぞれ利点あり欠点もあり、使い分けが必要でしょう。

慎重に削っても必ず節周りは歪む、そして隣の竹が引っ張られる、
結果、スパイラルノードのブランクは曲がりうねりが散らかって直しが煩雑。

3スタックと2×3は同じ癖を持つ竹で組めば若干の相殺が期待できる(理論上は)、
そうでなくても直し箇所はスパイラルに比べかなり減ります。

ただし、節が集まる=折損リスク大、という問題が出るので、
少なくとも最初のスネークガイドで節を押さえるよう材料取りすることです。

今回は道具限定でやるから3スタックですね、
何せ炎の中を通して曲げ直しだもの、下手すりゃ燃やしてしまう。

何かと不利そうな3スタックの擁護をしときますか、
至近距離で、ちまちまピンポイント狙いの釣りをしてみると、
3スタック竿がいちばん扱い易い(あくまで私的感覚)ようです。

これはシンメトリカルに節が集まる利点でしょうか、
曲げから復元するときに先端の捩れが起きないようで、
リーダーをそっとターンさせたとき(良く釣れて気分がいい時だけど)そう思う。


節削り

下拵えで圧縮した節の様子、出るべきものが出ております、
191008_2.jpg

真ん中の皮を残して削ります、
191008_3.jpg

焼き入れは「表カリカリ、中もっちり」に

マダケは表層と内部の適正温度が違うからオーブンのみでの焼きはとても難しい、
だからって、狭い部屋で七輪使ったら紫色になってぶっ倒れる可能性大、
ポータブルコンロは本体が過熱してガス爆発の(寸前まで行ったわ)恐れがある。

いちおう上記を試し、私の環境では無理なのを確認しました、
だから今使う火気はカセットガストーチのみです、それも調理用の。

点火レバーを握ると着火し、離すと消火する、火力や炎の調整はそのままに、
もちろん点火したままホールドするボタンも付いてます、
これがあるから、細割した竹を1本1本地味~に焼くことが出来るのですよ。
191008_4.jpg
最大火力、かつ炎を絞り、小さな円を描くように焼き進めます、
両角が赤く明滅するくらい(燃え広がらないから大丈夫)。

節の少し手前で止め(レバーを離す)棹を真っ直ぐに伸ばす、
次いで節、戻りがくるのでバイスに挟むこと。

オーブンなしの場合は裏表とも真っ黒に焼きます、
表、1mm未満の繊維密集層はカチカチに固まりますが、
内部は温度が減衰するのでボロボロになることはありません、
裏も同様で、黒焦げ加熱過剰部分は削りで無くなるから問題なしです。

一週間寝かせて、グイッとひん曲げパッ離してみて下さい、
ビンッと戻り、癖の付かない、極上のロッドマテリアルに変貌してるはず。