2020/11/28
「ゼロから始める竹竿作り」製作編その15(熱処理について補足)
前回記事コメントへの補足事項です。オーブンの方式で大きく変わるとは思いますが、
20分かそれ以内で焼き入れしようとすれば温度を高めるしかありません、
ですが、そうすれば内部に熱が入る頃には表層が加熱過剰になりかねない危険もあります。
じゃあどうすればいいの?、ですが、
コメに書いたように、水分飛ばしをしてから比較的安全な温度で焼くのが良いと思います。
地域差や季節もありますが、竹材は思ったより水分を抱いてます、
海外ビルダーの焼き入れレシピが我が国で通用しないは湿度の違いもあると考えてます。
私の環境で、晒し竹を素のまま荒削りし熱処理した場合、
170から175℃で15分以上はオーブン内に蒸気が充満します、
大き目の排気穴が両端に4箇所開いていてその状態、
ですから、20分の処理時間では水分が飛ぶだけで終わる可能性があります。
実際のところ、マダケの場合で、
対面巾8mmのものは25分程度焼くことが多いですが、
管理したストックがないこともあり焼け具合はまちまちなのが現状です、
これは含水量の違いが影響してるかもしれません。
焦がしを入れることで誤魔化しが効くから良しとしてますがね。
さて、コメントにあった20分、に引っ張られて実証実験を。
ニクロム線による片面加熱、空隙最小、ガバッと片開きの異形オーブンで、
対面巾約8.5mmと9.5mmで44inchを一緒に120℃で、
電圧一定、50分過ぎからジワジワ温度上昇・・・ほぼ乾燥と思われる、
取り出して冷ましユルユルの糸を外し、順番を組み変えてから(気休めです)縛り直す、
173から175℃と変動するオーブンで、
8.5mmが20分(13分で反転し7分)、9.5mmが23分(15分で反転し8分)、
2日置いてから表皮を落とし脇を整えてみました、
内部は淡いストローに変化、
削った節には、水分含んだままの加熱過剰で起きがちな黒染みが出てない、
削り屑を握り潰すと柔組織が粉にならず、ほのかに甘い焼き菓子みたいな香り、
少なくともヤキが廻った状態ではないですね、曲げても良い張りを感じます、
十二分に使えるんじゃないでしょうか。
面白そうだからこの手法で何本か試作してみるつもり、
安定が得られるなら1時間延長を許そうかな。なんて、・・参考まで。